by 川村元紀
  KAWAMURA motonori
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石黒正数「ネムルバカ」


「それでも町は廻っている」の石黒正数の1巻完結漫画。
石黒正数の魅力の一つが、小気味良いコマ回しのテンポだと思ってるんですが、
大学生日常モラトリアム漫画の今作ではそれがまた特に目立っている感じ。
緩やかな浮き沈みが淡々と綴られる、それがこんなに気持ちいい、ってのは本当にありがたい。
バイト先のうざい人も、深そうで浅い男も、どいつもこいつもちゃんと人間として
きちんと作られているし、絵にも隙がない、無駄なコマが無いですね。

しかしやはりこの漫画のキモは、鯨井先輩のロック魂。
鯨井先輩の日常も描かれているからこそ分かる、先輩の純粋さと勇気。
クライマックスは思わず涙ぐみました。
先輩!先輩・・・!先輩・・・!!!

それ町もネムルバカも良作だったので、石黒作品は集めないといけなくなりました。
ちゃんちゃん
Oyster「男爵校長High!」1巻


つ、遂に出た。男爵校長シリーズの最新刊。
(ただの)男爵校長、男爵校長DSに続いての実質5巻目。

Highのテーマが「冒険の準備」。アリカ達が3年生に進学して、
夏休みに海に行ったり、面談があったり、おお、時間が進むなあ。
とはいえ基本は日常4コマ、毎回アリカ達が何かに出会ったり悩んだりして成長して行くのが
本当に読んでいて愛おしい漫画ですね。
DSの最後で月彦さんの正体が分かったので、謎解きのような展開は無いのですが、
新しい妙な展開は様々。
一番謎なのは『少女→惑星探査』という漫画内アニメの存在。一話まるまる使って内容を紹介して、巻末にはおまけ漫画付き。2巻でも何かしら絡みがあるのかな。
それから最後に出た、アリカのお母さんの喫茶店復活の話。アリカの幼少期の思い出の場所でもあるし、月彦さんとの関わりも深い場所だし、何か話が展開されそうです。

1巻は「春」と「夏」編、と書かれているのですが、てことは2巻の「秋」「冬」で終わってしまうのだろうか。
こんな魅力的なキャラクター達があと少ししか見られないかもしれないなんて勿体ない…!
進路の話もまだあまり出て来てないし、あせって終わらせないで、ゆっくりとそれぞれの生き方を描いてほしいですね。

ところで面談の話はやり過ぎだろ!ってくらいOysterキャラが出て来てビビりました。
スズシロが見れて嬉しい。
福満しげゆき「うちの妻ってどうでしょう?」3


途中まで書いてた感想がミスですっとんだので簡易版で…orz

いや、妻も可愛いし子供も出来たし漫画も売れてるし、絶好調の福満しげゆき、幸せオーラで漫画つまらなくなってないかな、と思ってたけど、まさかの驚きの全ページ面白くて驚愕した。参りました。
妻抱き枕出るらしいのは面白いけど、売れたら売れたで嫉妬に狂ったりしないんでしょうか。

そういえば、こないだお会いした人に福満しげゆきの最初期の漫画を見せてもらいましたが、あれも良かった、ロボと語り合ってるやつ。
ちなみに「生活」も好きなので、またストーリー漫画も読みたいです。

福満さん、ブログに書いとくと読みにくるらしい。オーイ
俺が選ぶよ!この漫画がすごい2009
2009年おつかれさまでした。
あっという間の1年、色々反省すべき事は山ほどありますが、
ともあれ面白い漫画が今年もたくさん読めました。
と言う訳で、俺が選ぶ2009年ベスト漫画を紹介したいと思います!

ダララララララ、デン


Oyster「男爵校長DS」


「男爵校長」1、2巻、「男爵校長DS」1、2巻と4冊続けてお楽しみください。
(以下シリーズまとめて「男爵校長」で。)
「男爵校長」は所謂萌え4コマ漫画というジャンルにカテゴライズされる。
掲載誌をもえよん、まんがタウンオリジナル、コミックハイ!と点々としています。

一応wikipediaを。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B7%E7%88%B5%E6%A0%A1%E9%95%B7

さてでは、俺をここまで惹き付けた男爵校長の魅力とはなにか?
一言でまとめれば、「ハイレベルのバランス感覚」です。

まずはキャラクター。
男爵校長は萌え4コマギャグ漫画なので、当然女の子が可愛い。
パリっとしたデフォルメの絵柄は読みやすく、動きが生き生きしてる。
それぞれのキャラクターも特徴があって、背景がきちんと存在するから、
かわいらしい「萌え」だけでなく、ストーリーの深みがあり軽薄さを感じさせない。

ギャグも勢いのある独特のテンポが気持ちよく、飽きません。
ボケにボケを重ねるスタイルや、やけに貧乏日常的なネタも面白い。

日常4コマ漫画にも関わらず、ストーリーが面白いことも見逃せない。
一話一話にきちんとテーマがあり、キャラクターが成長していく様が描かれていく。
例えば後輩が弟子入りしてくる所から、弦音さんが「教える」事を学んでいく『長き肱の伸びしろ晒し』。
小夜子さんが夢の中から「世界」に語りかける『互いが御伽話でも』などはやけに哲学的だ。
そしてこれら一話一話が、だんだん1巻ごとの大きなストーリーに集約されていきます。
1巻では「DSとは何か?」2巻では「月彦さんの正体は?」といった大きな謎へ。

これらの、キャラクター、ギャグ、ストーリーが、同時に成り立っている、と言うのが凄い。
しかも半ページの4コマしかない漫画のほぼ全てで!
謎に迫るシリアスなシーンでも、ぎりぎりまで4コマの体裁としてのギャグが保たれている。

恐ろしいバランス感覚とクオリティーの高さ。
こんな漫画を続けていける事に敬服します。ボキャブラリーも豊富だし、作者はかなりの知識人、かつ頭の柔らかい方ではないかと。

現在男爵校長は「男爵校長High!」として連載中。
早く単行本でないかな。待ち遠しい!



オマケ
次点以下を一言付きで。

TAGRO「変ゼミ」
3巻が素晴らしい出来。変態から人間性に突っ込みつつ、あんな編では今までの話がひっくり返るサイコイリュージョン。びっくりした!すごい!
復刻版なんで今年じゃないけど、「宇宙賃貸サルガッ荘」もものすごく面白い。次巻が楽しみです。

福満しげゆき「僕の小規模な生活」
2巻が中だるみ?と思ってたんだけど、3巻はものすごく面白かった。コマの密度や内向的な思考回路がぎっしり詰まっていて良いです。
妻妊娠→出産という一大事も描かれているので出産漫画としても面白い。


どうしても印象に残ってるのは最近のになってしまう…
と言う訳でこんな感じで。
来年も面白い漫画がたくさんよめますよーに。
古賀亮一「忠犬ディディー」全1巻
 アマゾンではあまり評価が良くないが、読んでみればなかなかどうして面白い。

古賀さんは話のまとめ方やオチの付け方があまり上手くない。のはいつものこと。
話がまとまっていない回は多いが、登場人物が多くにぎやかなおかげでシノブ伝のダラダラした回のような間延び感は少ない。

ディディーの奔放なキャラは後半でかなり型ができてきて、いつも笑顔なところも合わせて独特な主人公キャラに育っているし、突っ込みのエイム、ロリキャラのビアード、と役割分担も上手い。
博士3匹組wはみんな変態で動物、という古賀路線ド真ん中ストレートなキャラクターでいじられがいがある。ロボ3人に対応する3匹の博士、という構図がまた上手く行っている。
桃山博士&オニオンは最初こそ不安があったものの、いじられてセクハラさせる桃山博士、デカい図体でいてキモくてオタク(おそらく)というキャラのオニオン、と妙にスポっと収まるキャラ付けになり、ギャグのバリュエーションがますます増えた。個人的にオニオンのキャラが結構ツボで面白い。「ふみゅ〜」とか言うんじゃないよw
このバラエティ豊かな面々ならもっと連載が続けられただろうにもったいない。もっと話が読みたかった。

ところで古賀漫画考察の観点からして面白いのは、150Pの、男共が女風呂に突撃するシーン。
普通の漫画であったら、何かしらの障害で入れないだとか、女性陣にぶっとばされておしまい、という、それはそれでグッドエンドでお約束な展開になるところだが、なんとエロシーンを目撃した挙げ句にそのまま一緒に混浴するというハッピーエンドになってしまった。女性陣もあまり嫌がっていないし。それで話がまとまったつもりか!?ww
話がまとまらない、中盤の疾走感がすべて、という古賀漫画では、ギャグ漫画お約束の展開は特に必要でなくなってしまっているのか。

このような状況を説明するに、まず基本的にギャグ漫画では、いろんな展開を繰り広げてオチへの準備をした上で、最後のページ・コマで落とす、つまり最後がギャグとしてのクライマックスとなるような設計になっているのだが、古賀漫画は流れの中での台詞や、展開そのものが笑いを誘うような仕掛けになっているという特徴がある。
この仕掛けによってギャグに準備が必要でなくなり、ギャグにギャグを重ねる独特の疾走感になっている。そして全コマギャグという状況ではオチをつける必要が無いため、疾走感はどこまでも続けることができる。展開がギャグを呼びギャグが展開を作る無限螺旋構造だ。
古賀漫画の最終ページというのは、オチのためのページなのではなく、1つの話を規定のページ数におさめるためのページなのだ。どこまでも続く螺旋階段からいったん抜け出して一休みしようという脱出口、非常ドア。
まとまってない!落ちてない!と嘆く必要はない。我々はただ螺旋階段をおりていくところだけにエクスタシーを感じていれば良いのだから。


「ユレバケ」はあまり疾走感がなくて面白みとしてはいまいち。
幽子さんがかわいいので付け合わせとしてニヤニヤしよう。